リチウムイオン二次電池の加熱劣化試験(C0223)
加熱劣化後のサンプルをLC/MS/MS,TOF-SIMS,TEM+EDXなどで評価可能
概要
リチウムイオン二次電池の開発には、高性能化・長寿命化・信頼性向上などの課題があります。これらの課題を解決するためには、電池の劣化機構の解明が重要です。今回は、温度による劣化機構についての評価のために、加熱劣化試験を行いました。加熱劣化試験後、大幅な容量低下が見られたサンプルについて、電解液をLC/MS/MS、負極表面をTOF-SIMS、負極断面をFIB-TEM+EDXで評価しました。
データ
サンプル
コインセル2032型
電極活物質 正極:LiCoO2
電極活物質 負極:グラファイト
電極活物質 電解液1M LiPF6 ,EC:DEC=1:1(容積比)
加熱劣化試験
4.2V、温度25℃,60℃、期間1週間
充放電測定
充放電レート0.2C、電圧範囲2.5-4.2V
前処理
サンプリング(高純度アルゴン雰囲気下)
容量変化
測定結果:電解液LC/MS/MS
測定結果:負極表面TOF-SIMS スペクトル
リン酸リチウム、炭酸リチウムの劣化成分起因のフラグメントが見られました。
測定結果:負極断面FIB-TEM+EDX
加熱劣化試験後には厚い付着物層が確認されました。劣化付着物の主成分はF,P,Oでした。
付着物層でCo,Cuが検出されました。Coは正極活物質、Cuは集電体より溶出したものと考えられます。