HF処理前後における骨の状態評価(C0218)
ラマン分析を用いた薬液処理前後の状態評価
概要
HF(フッ化水素)は、SiO2のウェットエッチング処理等で広く用いられており、半導体製造プロセスにおいて非常に重要な役割を果たします。しかし、一方で皮膚に触れてしまうと浸透し、骨を侵してしまうため非常に危険な薬品であり取り扱いには注意が必要です。
このHFによる骨の侵食は、アパタイトとして骨中に存在するCaとHFが反応することでCaF2が生成してしまうことによるものです。この反応の変化をラマン分析で評価した事例を紹介します。
データ
HF処理の実験には動物の骨を用いました。切り出した骨の画像を図1に示します。加工によって断面を作成し、その部分についてHF処理前後にラマン分析を行いました。
また、標準試料としてアパタイトのラマン分析も行い、HF処理前後のスペクトルとの比較を行いました。
図2にラマン分析結果を示します。HF処理後において、青色で示したアパタイト(リン酸塩)に特徴的な960cm-1付近のピークが消失し、赤色で示したCaF2のピークが320cm-1付近に新たに現れました。
ラマン分析で薬液処理による無機塩の状態変化を捉えることが出来ました。
MST技術資料No. | C0218 |
掲載日 | 2011/09/15 |
測定法・加工法 | [Raman]ラマン分光法 その他
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製品分野 | バイオテクノロジ 医薬品
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分析目的 | 化学結合状態評価
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