カーボン膜の構造評価(C0037)
構造特定・結晶性・sp3性の評価
概要
カーボンを構成元素とする物質にはダイヤモンド、グラファイト、カーボンナノチューブ、グラフェンなどの結晶構造を持つものとダイヤモンドライクカーボン(DLC)のようにアモルファス構造のものがあります。ラマン分光法はこれらの物質の構造特定や結晶性、sp3性の評価などに有効です[1][2]。
データ
ダイヤモンドはsp3混成軌道を有する典型的な共有結晶で、格子振動バンドが1330cm-1付近に観測されます。
グラファイトは、グラフェン(sp2混成軌道による六員環網状平面の炭素層)が積層したもので、格子振動バンドであるGバンドが1580cm-1付近に観測されます。
グラフェンでは、層数によって、Gバンド(1580cm-1付近)と2Dバンド(2800~2600cm-1付近)の強度比が変化すると考えられています。2Dバンドの比率が高いほど、層数は少ないと考えられます[3]。
DLCはsp3構造を多く含むアモルファスカーボンで、DバンドとGバンドの強度比D/Gを算出しsp3性の目安とすることができます。Dバンドのピーク強度が弱いほどsp3比率が高いと考えられています[4]。
<参考文献>
[1] 中島信一,溝口幸司,ラマンによる半導体材料の評価,月刊Semiconductor World 1988.8.
[2] 大久保優晴,Jasco Report Vol.31,No.3,49(1989).
[3] A.Gupta et al., Nano Letters Vol.6,No.12,2667(2006).
[4] A.C.Ferrari et al., Phys.Rev.B Vol.61,No.20,14095(2000).
MST技術資料No. | C0037 |
掲載日 | 2011/01/13 |
測定法・加工法 | [Raman]ラマン分光法
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製品分野 | 電子部品 製造装置・部品
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分析目的 | 構造評価
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