歯科インプラントの分析(C0509)
チタン(Ti)の酸化・水素化の深さ方向の状態評価が可能
概要
歯科インプラントとは、虫歯や歯周病などにより歯を失った場合に顎の骨に埋め込む人工的な器具です。
生体に埋め込むため、生体組織と直接触れる表面部の状態評価が重要です。
TOF-SIMSは最表面の定性分析に加え、最表面での深さ方向分解能に優れ、高感度に深さ方向の状態評価を行うことが可能です(※)。
本事例では、歯科インプラントのチタン(Ti)の状態を深さ方向に評価した結果をまとめております。
データ
図1 測定箇所
ネジ溝の○の箇所を測定しました。
図2 表面近傍の深さ方向分析
表面近傍にTi酸化膜(約5nm)があることがわかりました。
図3 Tiの状態分析結果
深さ60nm~90nmを定性評価することで、歯科インプラントの基材はHリッチなTiであることがわかりました。
※分子情報の深さ方向分析の参考出典;Harumi Masudome et.al.,Surf.InterfaceAnal.2011,43,664–668