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第3回(平成15年度)山崎貞一賞 半導体及び半導体装置分野

限家焼蛎里悒謄蹌達孱諜蚕僂粒発と原子制御プロセスの創生

受賞者 受賞者
室田 淳一 (むろた じゅんいち)
略歴
1972年 3月 北海道大学大学院 工学研究科 電子工学専攻
修士課程修了
同年 4月 日本電信電話公社 電気通信研究所 研究員
1985年 3月 東北大学 電気通信研究所 助教授
1995年 4月 東北大学 電気通信研究所 教授
現在に至る

選考理由

(研究の背景)
 シリコン集積回路の集積度と性能は年々向上しており、このペースを維持するために、MOS素子のチャンネル長の縮小化・ゲート酸化膜の薄膜化・高誘電率ゲート絶縁膜の導入などの微細化技術の開発が進められている。この結果、既に研究室レベルでは数10nm領域の微細なFETトランジスタが試作されている。しかしこのようなトランジスタの作成にあたっては、微細化するほど原子層レベルの制御が要求されるので、価格の点でシリコン集積回路の限界は見えつつあると考えられている。そこで微細化だけに頼らずに、シリコンと整合性の良い新材料系や新プロセス技術を導入して、上記限界を打破しさらに性能を向上させる次世代ULSIへの取り組みがますます重要になってきている。
(候補者の貢献)
 室田淳一教授は、早くも1980年頃にシリコン系のULSIを作製するためのCVD薄膜形成プロセスの原理的な解明からその装置開発まで一貫して研究を行なっていた。高品質で均一性の優れた薄膜形成には、原料ガスの気相中の反応、原料ガスの輸送、表面反応が複雑に絡み合う複雑系を制御する必要がある。具体的には、反応炉構造の異なる複数のCVD装置を開発し、データ収集を行なう中で、薄膜成長特性が反応炉の構造によらず原料ガスの分圧・温度・基板材質のみで決定される条件が存在することを発見した。これに関しては理論的にラングミュア型の単純な反応速度式で説明されることも確認した。さらに、Geの低温選択エピタキシャル成長の実現を通して、原料ガスの表面吸着反応の阻害要因が反応雰囲気中の水分等の不純物による事も見出した。現在、最も注目されているULSIデバイス構造の一つとしてSiGe系のヘテロ構造があるが、この実現には氏が先導してきた上記の成果が不可欠である。すなわち氏は、上記の成果に基づき、IV族半導体へテロCVD技術を開発し、さらには原子制御プロセスの研究に発展させた。具体的成果として、低温(550℃以下)での高品質SiGe系ヘテロエピタキシャル成長技術を確立し、それを世界で初めて高Ge比率(Si0.5Ge0.5)のチャネルから成るMOSFETに適用して、半導体膜内の歪に起因するバンド構造変化によるキャリア移動度の向上、さらには高速応答特性を有するヘテロ構造素子を実現した。
 尚、本研究で開発された高清浄ホットウォール型減圧CVD装置は、メーカーと共同でSiヘテロ構造形成のための量産装置として商品化されている。
(競合技術との差異)
 競合技術としては化合物半導体LSI、例えばGaAs系あるいはGaN系の集積回路技術などがあるが、集積度やコストにおいては現在主流のシリコン系(SiGe系を含む)のLSIが圧倒的に優位に位置している。
(現状と将来展望)
 SiGeヘテロ構造を有する半導体デバイスは、既に携帯電話に一部適用されている実績を持つが、広く一般のシリコンLSIにはまだ適用されていない。しかしながら、2010年頃にはMOSFETのゲート加工寸法が20nmレベルになると予測されており、現在、室田教授が進めている原子制御プロセス技術に基づくIV族半導体技術は、ますます重要になると予測される。

開発の動機

 受賞者は、化学気相成長法(CVD:Chemical Vapor Deposition)によるヒ素ドープ多結晶Si形成の研究を進める中で、日本電信電話公社のLSI開発計画に参画し、Siゲートプロセスの構築を先導した。当時、国産装置はほとんどない状況で、3インチ対応量産用常圧CVD装置の国産化を図り、1976年世界初の64kbit MOSLSIを実現した。その後も枚葉処理化を含めた減圧CVD装置の開発を推進し、現在のULSI対応CVD装置の原形を築いた。その過程での5台以上の反応炉構造の異なるCVD装置開発とデータ収集を行う中で、薄膜成長特性が反応炉の構造によらず原料ガスの分圧・温度・基板材質のみで決定される条件が存在し、それがラングミュア型の単純な反応速度式で表されることを見いだした。さらに、世界初のGeの低温選択エピタキシャル成長の実現等を通して、原料ガスの表面吸着・反応の阻害要因が反応雰囲気中の水分等の不要不純物によるものであることを明らかにした。それらが限家焼蛎離悒謄CVD技術の開発と原子制御プロセスの研究を行う出発点となっている。

業績内容

 CVD法での薄膜形成の原子層レベル制御を可能にするために、徹底的に反応雰囲気の高清浄化を図ったホットウォール型減圧CVD装置を国際電気(株)(現(株)日立国際電気)と共同で開発した。そして、550℃以下という低温での高品質SiGe系ヘテロエピタキシャル成長技術(限家焼蛎離悒謄CVD技術)を確立した。さらに、その成長特性・不純物ドーピング特性をラングミュア型の簡単な表面吸着・反応速度式で定式化し、Ge比率・膜厚・不純物濃度の高精度制御基盤を構築するとともに、SiGe系薄膜の比抵抗とキャリア濃度・不純物濃度の関係図等のSiGeをデバイスに応用する上で不可欠なデータをとりまとめ、8インチ対応縦型高清浄ホットウォール型減圧CVD装置の商品化に成功した。この装置は、SiGe系限家焼蛎離悒謄躪渋い50枚規模の8インチウェハ上に一度に形成でき、他の方法に比してスループットが5倍以上であり、しかも成膜特性が原料ガスの分圧・温度基板材質のみで決定されるため、広くSi系デバイスの量産化に適している。また、世界で初めて、高Ge比率のSi0.5Ge0.5チャネルをMOSFETに適用し、1.8倍の電流駆動能力の向上を確認するとともに、不純物ドープSiGe選択成長膜をソース・ドレインの一部とした微細MOSFETを提案し、短チャネル効果も抑制されることを実証した。これらは現在進められているSiGe系デバイス開発を先導したものと考えられる。
 さらに、原料ガスの高分圧(数Pa〜数百Pa)下での原料分子の表面吸着とフラッシュ光照射による反応を組み合わせた瞬時加熱減圧CVD装置を開発し、SiとGeの原子層成長制御を可能にした。また、開発した高清浄ホットウォール型減圧CVD装置を用いて、Si(100)やGe(100)表面でのSiH4やGeH4、SiH3CH3、CH4、NH3、PH3等の水素化物ガス分子の自己制限的飽和吸着・反応条件を見いだし、これら表面吸着・反応過程がラングミュア型で系統的に記述できることを明らかにした。そして、SiとGeのCVD原子層成長やSi表面の原子層熱窒化等を可能にした。不純物原子層成長制御とSi低温エピタキシャル成長の組み合わせにより、Siエピタキシャル薄膜中へのP,N,B,C,Wの原子層ドーピングを実現し、1 nm以下の極薄領域に不純物原子を閉じこめることに成功した。特に、世界で初めて一層当りのP面密度が4×1014 cm-2.に達するP原子層ドープSiエピタキシャル薄膜を450℃という低温で作製し、従来にはない活性化された非熱平衡超高濃度Pデルタドーピングを実現した。
 これが、10-8Ω・cm2台の低抵抗金属/半導体コンタクト形成に有効であることも実証した。
 これらは、Si系デバイスの超高性能化に必要なSi系限家焼蛎里離丱鵐疋┘鵐献縫▲螢鵐阿慮胸卆御と超高キャリア濃度化のための指針を与えるもので、今後のULSIを中心としたSi系デバイスのナノ化のための原子制御プロセスを創生するものと考えられる。

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