最新の受賞者

令和2年9月15日(火)に開催した理事会にて今年度の受賞者を下記2分野3名に決定いたしました。

材料分野受賞者詳細

題 目:有機無機ペロブスカイト半導体を用いる太陽電池の創製と高効率化
受賞者
受賞者
宮坂 力 (みやさか つとむ)
所 属
桐蔭横浜大学 医用工学部 特任教授
東京大学 先端科学技術研究センター フェロー

半導体及びAI・システム・ソフトウェア分野受賞者詳細

題 目: 炭化珪素パワー半導体の基盤技術確立と実用化への貢献
受賞者
受賞者
木本 恒暢(きもと つねのぶ)
所 属
京都大学大学院 工学研究科 教授
受賞者
受賞者
中村 孝(なかむら たかし)
所 属
大阪大学大学院 工学研究科 特任教授
福島SiC応用技研株式会社 取締役副社長


受賞者記念コメント

材料分野

宮坂 力様

受賞を知らされてのお気持ち、ご感想

 受賞対象のペロブスカイト太陽電池の技術は我が国で発明されてから、研究が世界各国に広がり太陽電池以外にも数々の応用が試みられています。技術が当初予想できなかった高いレベルまで進歩し研究開発がこのように世界規模で広がってきたなかで、企業における産業実用化と商品化の動きはまだ始まったばかりです。この段階で、技術のさらなる波及効果を含めて研究成果をこのように評価いただいたことをうれしく思います。

研究開発の途中で苦労または工夫された点、エピソードなど

 私の指導してきた研究チームは主に化学者で構成されており、ペロブスカイト太陽電池のさきがけとなった新しい材料技術を2009年から2012にかけて発表したものの、その後、海外でこの研究にとりかかった物理系の研究グループによる研究進捗が速く、太陽電池としての効率と性能が日進月歩で上がってきましたが、海外の研究進度に追いつくために効率向上の開発を休まずに続けてきたことが最も苦労した部分です。研究者として世界トップ集団に加わった一方で、日本における研究活動がまだ研究者数の点で弱いために、日本の代表として研究成果を海外で発表し広報することにもかなり力を入れてきました。現在では、国内の企業による太陽電池の開発が世界で知られるようになり、日本の産学の研究グループの存在感も高まってきたのでうれしく思います。

受賞の対象となった研究の、将来的な展望や期待について

 研究の成果は、光電変換(太陽電池)のみならず、発光素子(LED)、光検出素子、X線検出素子、そしてレーザー発振材料などの多くの応用に広がり、これらの分野で実用化されると考えます。光電変換素子については、出力電圧が弱い光のもとでも高いことから、IoT分野の屋内・携帯発電用パワーデバイスとしての実用化がもっとも有力と期待します。また、宇宙用の高耐久性太陽電池としての開発が始まっている点も注目するところで、軽量でフレキシブルを特長とする高効率ペロブスカイト太陽電池が衛星計画に応用される時代が来るだろうと考えます。



半導体及びAI・システム・ソフトウェア分野

木本 恒暢様

受賞を知らされてのお気持ち、ご感想

 伝統と栄誉ある山崎貞一賞受賞者の末席に加えていただく機会を賜り、光栄かつ身の引き締まる思いです。SiCパワー半導体の研究開発および実用化に関しては、幸いにして我が国が強みを発揮しています。したがいまして、今回の受賞は、日本のSiC半導体コミュニティに対する評価と激励であると受け止めたいと存じます。今回の栄誉に恥じることのないよう、さらなる高い頂上を目指して研究を継続したいと考えています。

研究開発の途中で苦労または工夫された点、エピソードなど

 苦労ではありませんが、既存技術に関わる常識や既存設備の制約への挑戦が、当該研究の面白さであったのではないかと思います。ワイドギャップ半導体ではp型イオン注入は困難、1500℃以上のプロセスは量産不可能、Siより10倍高い高電界では酸化膜破壊や表面破壊が生じる、転位が存在する結晶で高信頼パワーデバイスを製造することは不可能、そもそもSi半導体と競合するのは無理、などのご指摘をたくさんいただきましたが、地道なステップの積み重ねにより、実用化に至りました。これらの挑戦の背後にある半導体物理や材料科学の醍醐味を楽しむことができたのが、何よりの財産です。

受賞の対象となった研究の、将来的な展望や期待について

 エネルギー・環境問題に直面している現在、エネルギーの有効利用の重要性が増しています。パワー半導体は電力の有効利用のカギを握るハードウェアと言って過言ではありません。幸い、SiCパワー半導体の実用化が始まり、産業用機器や電車で大きな省エネ効果が実証されていますが、まだまだSiC本来の実力は発揮されていません。引き続き研究課題の解決に取り組み、現行より数倍以上の性能と高い信頼性を有するSiCパワー半導体を実現すべく精進を重ねたいと存じます。また、SiC半導体を用いて高温動作集積回路などの新しい分野への展開も進めたいと考えております。



中村 孝様

受賞を知らされてのお気持ち、ご感想

 栄えある賞を受賞することになり大変名誉なことと嬉しく思っております。これまで受賞された方々は皆様高名で偉大な方ばかりで、身が引き締まる思いです。また、今回の賞は、共同受賞者の木本先生はもちろんのこと、松波京都大学名誉教授、西本京都大学名誉教授、ローム株式会社、福島SiC応用技研株式会社、大阪大学など多くの皆様方のご協力・ご支援によるものです。深く御礼を申し上げます。

研究開発の途中で苦労または工夫された点、エピソードなど

 京都大学で産まれたSiCパワーデバイスに秘められた可能性に惹かれ、何とか実用化しようと開発に邁進してまいりました。開発当初は社内(当時、ローム株式会社所属)にはこの分野の専門知識のある人間が乏しく、一からのスタートで社内理解もなかなか得られない状況でした。学会などへの外部アピールを通じてユーザーから声がかかるようになり、ようやく社内でも認知されるようになりました。

受賞の対象となった研究の、将来的な展望や期待について

 SiCパワーデバイスもようやく市民権を得たような存在になりました。しかし、揺るぎない地位を獲得するまでにはまだまだ努力が必要だと思っております。デバイスの性能や信頼性の向上も不可欠ではありますが、SiCパワーデバイスの性能を有効に発揮できるような応用開発も必要です。現在はSiCパワーデバイスを採用することにより飛躍的に価値向上ができる応用開発に取り組んでおります。今後もSiCパワーデバイスのさらなる発展のため一層の努力をする所存です。

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