AES・SEM-EDXによるCu表面変色部の評価(C0451)
SEM観察を行いながら検出深さの浅い元素分析が可能
概要
金属表面の変色や異物の簡便的な調査にはSEM-EDX分析やAES分析が適していますが、変色や異物が薄い・小さい場合は、表面のごく浅い領域(4~5nm程度)の情報が得られるAES分析が有効です。
MST保有のAES装置はSEM像を取得できるため、SEM像で着目箇所の確認をしながらAES分析を行うことが可能です。本事例では、Cu表面に存在する変色部をAES分析とSEM-EDX分析で評価し、比較したデータをご紹介します。また、AES深さ方向分析を行った結果を併せてご紹介します。
データ
Cu赤褐色部のAES・SEM-EDX分析結果
各結果より赤褐色部では
AES分析:主にZn, Fe, Cu
SEM-EDX分析:主にCu
が検出され、Cu表面上にZn, Feを含む物質が存在している可能性が示唆されました。
AES分析では検出深さが浅いため、表面側(4~5nm程度)の情報を得ることが可能です。
Cu赤褐色部のAES分析深さ方向プロファイル
定性分析と同箇所にてAES深さ方向分析を行った結果、
Zn, Feの酸化層/ Cu酸化層/ Cu(母材)
の深さ方向分布が得られ、各酸化層が変色の一因である可能性が推察されました。
AES分析では検出深さが浅いため、このような深さ方向分布を得ることが可能です。