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多核NMRで解明するリグニン誘導体の官能基近傍の局所環境

分析トピックス

リグニン誘導体は、その多様な官能基に由来する溶解性や機能性が注目されています。これらの物性は、スルホン酸基やカルボニル基といった官能基やカウンターイオン周辺の局所環境と深く関係しています。そのため、機能設計においては分子レベルでの局所環境を正確に把握することが極めて重要です。

このようなリグニン誘導体の化学的環境を評価する主要な手法としてNMR分析が挙げられますが、従来のNMR解析では1Hや13 Cを対象とした間接的な評価が主流でした。官能基に含まれる17 O等の核種は天然存在比が低く、不均一な高分子であるリグニン類において天然存在比の17O-NMR信号を観測した例は報告されていませんでした。

そこで弊団では、多核NMR分光法に関する新規アプローチ技術を確立し、リグニン誘導体の天然存在比17 O-NMR測定に成功しました。これにより、温度変化に伴うカルボニル酸素周辺の水素結合の解離や溶媒和の状態に関する知見が得られました。
さらに、固体23 Na-NMR解析及び固体2次元NMRを組み合わせることで、固体・溶液の各状態における官能基近傍の局所環境解析技術を確立しました1)。

このような多核NMRによる直接的な局所環境の評価は、官能基の挙動やイオンの存在形態を詳細に紐解く鍵となります。リグニン誘導体の溶解性向上や、機能性材料としての設計最適化における課題解決に向けて、高度なNMR解析技術をご活用ください。構造と物性の相関解明に関するご相談を随時承っております。

出典:
1)野口祐輔、中村篤史「多核NMR分光法によるリグニンスルホン酸ナトリウムの局所環境解析 -天然存在比17O-NMR及び固体23Na-NMRによるアプローチ-」
『第71回リグニン討論会』(2026年10月28日, 福岡県久留米市)[208]

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