ICP-MS:Inductively Coupled Plasma - Mass Spectrometry
[ICP-MS]誘導結合プラズマ質量分析法の
分析事例はこちらからご覧ください。
特徴
ICP-MSは溶液を分析するため、固体分析では作製が難しい標準試料を比較的容易に調製することが可能です。そのため、溶液中の極微量な無機元素を精確に定量する場合に頻繁に用いられています。
- 高感度・低バックグラウンドな測定が可能なため、無機元素分析用装置としては最も低い含有量(ppt*あるいはサブpptレベル)を検出可能。(*:ppt:10-12g/g)
- 定量分析の比較基準となる標準試料(標準溶液)の調製を柔軟に行うことができるため、不確かさの小さな結果を得られる。
- 周期表の多くの元素を同時に測定可能なため定性分析が可能です。また、広いダイナミックレンジを備えており主成分から微量成分までを同時に分析可能。
適用例
- Siウエハ表面の金属汚染評価
- 薄膜中(SiO2膜など)に含まれる金属不純物量評価
- クリーンルームの汚染評価
- 溶液中(超純水、高純度試薬)に含まれる金属不純物の評価
- 粉体やバルク(Si・石英など)中に含まれる金属不純物の評価
- 薄膜(酸化膜、金属膜など)の組成分析
- 合金の組成評価
原理
ICP-MSは特定の質量/電荷比(m/z)のイオン強度を測定する手法です。イオン源としては一般的にアルゴンプラズマが用いられます。
アルゴンプラズマは、高周波電流の流れる誘導コイルを巻いた石英3重管にアルゴンを流すことで得られ、非常に高いガス温度、電子温度を持つため、多くの元素に関して90%以上のイオン化が可能です。
多くの金属は+1価のイオンとして質量分析計に導入されます。
天然に存在する元素は、一定の同位体組成を持っているため、各m/zに現れるイオン強度をスキャンすることで含有元素の定性分析を行うことができます。また、イオン強度が含有元素量と比例関係にあることを利用し、濃度既知の標準溶液と試料のイオン強度を比較することで、定量分析を行うことができます。
データ例
Siウエハ表面・酸化膜中の金属汚染評価
薄膜組成分析例
- 成膜時の構成元素比の確認が可能です。
- プロセスによる構成元素比の変化が確認できます。
- 構成元素比の面内分布評価が可能です。
データ形式
仕様
- 測定必要量:50mL
- 分析可能元素と定量下限(ハロゲン元素はイオンクロマトグラフ法で測定可能です)
※化合物の状態により前処理/測定困難な元素があります。
必要情報
- 目的/測定内容(組成比・微量元素・定量・定性など)
- 試料情報
(1)数量・予備試料の有無など
(2)形状・形態(大きさ・バルク・薄膜・液体など)、層構造・膜厚(薄膜試料の場合)
(3)着目元素
(4)予想濃度
(5)提出するデータの単位(wt.%, at.%, g/g, g/cm2, atoms/cm2など)
(6)注意事項
- 納期
(1)ご希望の速報納期
(2)注意事項
- その他の留意点
注意点
- 予備試料が必要な場合があります。
- 溶解できない場合は分析不可となります。
- 定性分析の報告値は含有量の目安です。数値を厳密に取り扱う場合は定量分析が適しています。
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