[NMR]核磁気共鳴分析

NMR:Nuclear Magnetic Resonance
NMR核磁気共鳴分析

[NMR]核磁気共鳴分析の
分析事例についてはこちらをご覧ください。

特徴

NMRとは、磁場を与えられた状態の原子核に外部から電磁波を照射したときに、原子核がそれぞれの化学的環境に応じた特定の電磁波を吸収する現象(共鳴現象)を観測することにより、化合物の構造を 推定する手法です。
有機化合物の主要構成元素である水素や炭素は、1H核や13C核のNMRスペクトルを測定することにより、その化学シフトや積分強度から有機化合物の構造解析、定量分析が可能です。またスペクトルの分裂の様子を解析することにより、互いの原子核の立体的な関係も推定することが可能です。
無機化合物では、多核と呼ばれる1H核や13C核以外の核(例えば、19F,29Si,31Pなど)を測定することにより、その構造などに関する知見を得ることが可能です。
NMRには、溶媒に可溶な試料に用いられる溶液NMRと溶媒に不溶、もしくは難溶解性試料に用いられる固体NMRがあります。

適用例

  • 有機材料の構造解析
  • 有機材料の添加物・不純物の同定・定量分析
  • 有機薄膜の分子構造解析・劣化解析
  • 電池材料の構造解析・拡散評価
  • 標準物質の純度測定

原理

原子核の回転と共鳴現象

元素を構成しているある種の原子核は回転しており、磁石の性質を持っています。原子核を静磁場の中に置いたとき、この回転はこまのようにふるまいます(歳差運動)。この状態で回転と同じ周波数の電磁波を照射すると共鳴現象が起こります。
水素の原子モデルと原子核の回転
水素の原子モデルと原子核の回転

エネルギー準位と核磁気共鳴

原子核は静磁場中に置かれると、2つのエネルギー準位に分かれます(ゼーマン分裂)。このとき原子核は、エネルギーが安定なα状態を占める原子核の数が不安定なβ状態よりわずかに多い状態になっています。この状態で外部から電磁波を照射すると、このエネルギー差ΔEに相当するエネルギーを吸収して励起状態になります(核磁気共鳴)。

共鳴周波数と化学シフト

共鳴周波数は、静磁場の強度に比例し、次の関係が成り立ちます。ここで磁気回転比は原子核固有の値で、共鳴周波数は原子核の種類によって異なります。
共鳴周波数と化学シフト
また共鳴周波数は、同一化合物の同種の原子核でも周りの電子や原子団の影響を受けて異なります。これを化学シフトと呼び、基準物質からどれくらいずれているかppm単位で表されます(次頁のデータ例参照)。
エネルギー準位で示す2つのエネルギー状態
エネルギー準位で示す
2つのエネルギー状態(1H核の例)

装置構成

NMR装置は、主に原子核(:試料)に磁場を与える超電導磁石と超電導磁石内に設置されたプローブ、プローブ内の試料に電磁波を送受信する分光計に分かれています。

超電導磁石

プローブと分光計

超電導磁石 プローブと分光計

データ例

NMRでは、1次元測定により単数の核種の化学状態を調べ、2次元測定により複数の核種間の化学的関連性を調べます。これらを合わせて解析することにより化合物の構造を推定します。

酢酸エチルの1次元および2次元測定のデータ例を示します。

1次元データ例:1H NMRスペクトル

1H NMRスペクトル

 1次元NMRスペクトルを解析することにより下記のことがわかります。
  ① 化学シフトから、この水素核を含む官能基の種類、またその化学的環境がわかります。
  ② スペクトルの積分強度から、この水素核を構成している原子団の水素の数がわかります。
  ③ スペクトルの形状(:分裂状態)から、この水素核に隣接する原子団の状態がわかります。
   ※補足説明:4.1ppm付近のスペクトルは4本に分裂していることから、隣接する炭素に結合して
    いる水素の数が3個であることがわかります。

2次元データ例:1H-13C HMQCスペクトル

1H-13C HMQCスペクトル 1H-13C HMQCスペクトル

1Hと13Cの各スペクトルが交わる点(交差ピーク)から酢酸エチルのa,b,c各位において、1H核と13C核が直接結合していることがわかります。交差ピークがないスペクトルは、1H核と13C核が直接結合していないことを示しています。

*:溶媒起因のピーク

2次元NMRスペクトルを解析することにより、2核種間の化学状態がわかります。

データ形式

・PDFファイル

仕様

・測定可能な試料の状態   :液体・固体
・測定に必要な試料量    :液体;数mL、固体;数mg~100mg
・測定可能な核種      :H,13C,15N,19F,29Si,31Pなど
・測定可能な試料温度    :-100℃~150℃
・磁場強度         :600MHz(14.1T)

必要情報

  1. 分析目的
  2. 試料情報
    (1)数量・予備試料の有無など
    (2)材料、サンプルの状態(粉末・溶液)など
    (3)推定構造の有無など
    (4)注意事項
  3. 納期
    (1)速報納期
    (2)注意事項
  4. その他の留意点

注意点

  • 磁性を有する試料の場合、スペクトルが検出されない可能性があります。
  • 固体の形状によっては、測定できない可能性があります。

[NMR]核磁気共鳴分析の分析事例についてはこちらをご覧ください。

分析のご相談・お申し込み

知識豊富な営業担当が、最適な分析プランをご提案。
分析費用のお見積りもお気軽にお問い合わせください。
相談・お申し込みは、専用のフォームかお電話でどうぞ。

webからのお問い合わせはこちら

分析お問い合わせフォーム

お電話からのお問い合わせはこちら

ページトップへ