FIB-MS:FocusedIon Beam Mass Spectrometry
[FIB-MS]集束イオンビーム質量分析法の
分析事例はこちらからご覧ください。
特徴
FIB-MSは、SEM装置に搭載されたFIB(集束イオンビーム)とTOF型質量分析器を用いて、
微小箇所の形状観察と元素イメージングを同時に行うことのできる手法です。
- 固体材料の表面分析が可能
- EDXでは難しいLiなどの軽元素を評価可能
- Gaイオンを一次イオンに用いることで高い面分解能(数十nm)で評価可能
- 検出下限は最小数ppm (元素による) と、EDXより微量な不純物元素分析に適用可能
- 雰囲気制御ホルダーを用いることで大気暴露せず測定可能
- SEM装置に搭載されているため形態観察と元素分析が同一チャンバー内で実施可能
適用例
- 面分析による元素分布の可視化(数μm~200μm角程度)
- リチウムイオン二次電池における電極のH、Li、Fの分布評価、劣化評価
- サブミクロンオーダーの異物の組成分析
原理
二次イオン発生原理
Gaイオンビーム(一次イオン) を試料表面に照射すると試料表面近傍の原子は攪拌され、一部が真空中に飛び出してきます(スパッタリング)。
飛び出してきたイオン(二次イオン)を質量分析することで、試料中に含まれる成分の定性を行います。
飛行時間(Time-of-Flight)質量分析器の原理
二次イオンが検出器に到達するまでの時間が質量によって異なることを利用して質量を分離します。
軽い二次イオンほど早く検出器に到達します。
なお、同時に正イオンと負イオンを検出することができないため、片極ずつの測定が必要です。
装置構成
FIB, SEMに加え、EDXおよび飛行時間(TOF)質量分析器を備えており、
加工から元素分析までを同一チャンバー内で実施可能です。
データ例
■リチウムイオンバッテリー負極のLi・F分布
充放電を繰り返したリチウムイオンバッテリー負極の断面を作成し、FIB-MS分析した事例をご紹介します。
リチウムイオンバッテリーのLi分布を把握することは、劣化メカニズムの解明などに重要な役割を果たします。FIB-MS分析では、EDXで原理上評価の難しいLi分布、また電子線のダメージを受けやすいF分布が明瞭に確認できます。
またスペクトルも出力可能です。
仕様
測定可能元素 |
H~U |
搬入可能サイズ |
直径10 cmφ×高さ1.3 cm |
測定可能範囲 |
数μm角~200μm程度 |
空間分解能 |
35nm程度 |
質量分解能 |
M/ ΔM >500 |
必要情報
- 目的/測定内容
- 試料情報
(1)数量、予備試料の有無など
(2)構造、着目元素、膜厚、パターンの有無、予想される濃度など
(3)注意事項(雰囲気制御・切断可否など)
- 納期
(1)ご希望の速報納期
(2)注意事項
- その他の留意点
注意点
・雰囲気制御などが必要な試料の場合、事前にその旨をご連絡ください。
・測定面を掘りながら分析するため破壊分析となります。
以下の材料は測定に悪い影響を及ぼします。
・蒸発するもの(融点の低いサンプル)
・絶縁性材料(導電処理により分析可能)
・試料表面凹凸
[FIB-MS]集束イオンビーム質量分析法を適用した分析事例はこちらからご覧ください。