特徴
遺伝子解析とは、DNAの塩基配列を読み取り、遺伝子の変異や働きを調べる方法です。
本手法では、塩基の質量の違いをMALDI-TOF-MSで分析し、DNA塩基配列を決定します。これによりSNP(一塩基多型)やINDEL(挿入/欠失)、CNV(コピー数多型)等を検出することが可能です。
一度に解析できる検体数や検出可能な遺伝子数が多いことが特徴です。
- マルチプレックスPCRとMALDI-TOF-MSにより、最大で40種の変異箇所の同時解析が可能
- 塩基(A/T/G/C)の検出に特化した質量分析が可能
- 目的別に検出可能な標的遺伝子が予めデザインされている解析ツールを多数保有
- 解析ツールのオリジナルデザインも可能
適用例
- 標的遺伝子デザイン済み解析ツール
・薬物代謝酵素の遺伝子多型検査
-CYP2D6 / CYP2C19 を含む20遺伝子
・各種がん(肺がん・大腸がん・メラノーマ)
・新型コロナウイルスの変異解析など
- オリジナルデザイン解析ツール
任意のSNPsなどを対象に自由に設計可能
<利用例>
・疾患関連遺伝子解析・ヒトの体質/遺伝子検査
・細胞の品質評価・家畜の親子鑑定検査
・農産物の品種同定・食品中の細菌検査
(大腸菌O157など)
測定方法
サーマルサイクラーによる①マルチプレックスPCR、②一塩基伸長反応の2つのステップ、その後、マスアレイによる③質量分析の合わせて3つのステップから構成されます。
① マルチプレックスPCR
複数のプライマー対を同時に使用することで、
標的とする複数の遺伝子領域を同時に増幅させます。
② 一塩基伸長反応
増幅させたDNA断片について、それぞれの特異
的プライマーを用いて標的箇所を一塩基のみ伸長させることで、DNA断片に質量の違いを生じさせます。
③ MALDI-TOF-MSの質量分析
一塩基分の質量の違いをMALDI-TOF-MSによって検出し、解析します。
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装置構成
装置は主に質量分析部とサンプル設置部から構成されています。
サンプル設置部で質量分析用チップにサンプルをのせてマトリックスと混合し、その後、質量分析を行います。
測定例
Sample 1~6について新型コロナウイルスの変異解析を行った例を紹介します。新型コロナウイルスの変異解析では一回の測定で36か所の変異が検出でき、この組み合わせによって、新型コロナウイルスの変異株を推定できます。
例として、Sample 1のスペクトルデータを下に示します。得られたスペクトルデータによって、すべての変異の検出/不検出を判別でき、このうち質量7200付近で見られるL452Rに関するピークから、野生型「WT(A: アデニン)」ではなく変異型「G: グアニン」であることがわかりました。
サンプルごとに得られたスペクトルデータを元に結果をまとめました。表中のWT(野生型)は変異が無いことを、A(アデニン)・T(チミン)・G(グアニン)は変異があることを表しています。
例として、Sample 1はWT(G)、G、WT(A) の組み合わせとなり、デルタ株であることがわかりました。
データ形式
仕様
測定可能形状: 血液、組織、細胞、ゲノムDNA
必要量はサンプルによって異なります。別途ご相談ください。
(目安: 血液1mL程度、ゲノムDNA 濃度10ng/μLを50μL程度)
サンプルのDNA抽出についても対応いたします。
必要情報
- 目的/測定内容
- 試料情報
(1)試料量、試料数、予備試料の有無など
(2)状態(血液、口腔スワブ、ゲノムDNAなど)
(3)注意事項
- 納期
(1)速報希望日
(2)注意事項
- その他の留意点/ 試料到着日
注意点
サンプルの状態やDNAの量によっては分析不可となる場合があります。