[ED]電子回折法の
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特徴
EDは、電子線を試料に照射することで得られた回折パターンから結晶構造を調べる手法です。
- 物質の結晶学的情報が得られます。
透過電子顕微鏡の場合、単結晶では規則正しく並んだ回折斑点(スポット)、多結晶では同心円状の円環、非晶質ではブロードな円環状の電子回折図形となります。
- 透過電子顕微鏡で観察される微小領域の結晶構造を調べることができます。
- 結晶構造とEDX法での元素分析結果とを組み合わせることで、結晶性を有する物質を特定することも可能です。
適用例
Siや化合物半導体、酸化物半導体、金属などの
- 結晶性評価
- 結晶構造の同定
- 結晶方位評価
- 結晶の配向性評価
原理
入射した電子が結晶の格子面に対してブラッグ条件を満たす角度となったとき、電子は弾性散乱されます。散乱された電子は互いに干渉しあいますが、ブラッグ条件を満たした電子だけが特定の方向に回折波として強度を持ち、回折スポットを形成します。
透過光と複数の回折スポット間の位置関係を解析することで、試料の結晶構造に関する情報を得ることができます。
電子の回折
データ例
カメラ長をL、透過光から回折スポットまでの距離をRとすると、θが十分小さい場合は
R/L=tan2θ≒2θ・・・(1)
で近似されます。
ブラッグの法則より、θが十分小さい場合は
λ/d=2sinθ≒2θ・・・(2)
が成り立ちます。
上記(1)(2)式より、R・d=λ・Lが求められます。
λとLは測定条件・装置によって定まるため、Rを測定することで結晶面間隔dを算出できます。
単結晶Si
単結晶Siを測定すると、結晶の対称性に従った回折スポットのパターンが得られます。
透過光からの距離を測定することで求めた結晶面間隔と、透過光と各回折スポットを結んだ直線がなす角から、各回折スポットの方位を求めることができます。
多結晶Si
測定領域内にあらゆる角度の結晶が存在するため、スポットではなくて同心円状のパターン(デバイ・リング)を形成します。リングの半径から格子面間隔を求めます。
石英ガラス
結晶構造を持たない場合、明瞭な回折スポットは観測されず、ぼんやりとした同心円状のハローパターンを形成します。
データ形式
- JPEGファイル
- mptファイル
(MST測長ソフト「Image Measuring Tool」対応形式)
仕様
搬入可能試料サイズ |
TEM観察用薄片試料 |
測定可能領域 |
数nmΦ~数μmΦ
- 電子線のプローブ径は約1nmΦ~
実質的な空間分解能は物質の散乱能とTEM試料厚みによる。
Siの場合数nmΦ。
- 制限視野電子回折は20nmΦ以上の領域で適用可能。
- 20nmΦ未満の領域では極微電子回折を用います。
|
検出深さ |
TEM観察用薄片の厚さ |
d値分解能 |
数% |
必要情報
- 目的/測定内容
- 試料情報
(1)数量・予備試料の有無など
(2)分析箇所・領域・層構造(組成)・膜厚など。粉体の場合、粒径と頻度(密度)。
(3)注意事項
- 納期
(1)ご希望の速報納期
(2)注意事項
- その他の留意点
注意点
- 試料を薄片化する必要があります(一部の試料においては薄片化が困難な場合あり)。
- 試料加工および観察により、試料が変質・変形することがあります。
- 分析時にハイドロカーボン等の付着があります。
- 磁性を帯びた粒子は電子顕微鏡内に飛散すると電子顕微鏡が破損する可能性があり、粉体状態で装置への導入はできません。
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