AFM-IR:Atomic Force Microscope based Infrared Spectroscopy
AFM-IRはAFM(原子間力顕微鏡) システムのオプション機能として動作します。
nanoIR(製品名)として呼称される場合があります。
[AFM-IR]AFM赤外分光分析の
分析事例はこちらからご覧ください。
特徴
赤外分光法は、分子の振動による赤外線吸収を測定することで、分子構造の情報を得る手法です。
本手法はAFMシステムと連動し計測を行う事で、試料の凹凸および機械特性分布、選択された吸収帯での赤外吸光像(官能基分布)を同時計測することが可能です。
AFM-IRは以下の特徴があります。
- 非常に高い空間分解能(ナノスケールオーダー)での評価が可能なため微小領域でのスペクトル測定イメージ測定が可能
- FT-IRのライブラリーを使用することで同様の解析が可能
適用例
- ポリマーブレンドブロック共重合体
- 多層フィルム
- ナノファイバー
- 高分子ナノコンポジット材料
- 欠陥・異物分析
原理
光吸収を試料の熱膨張として検出
試料上方から波長可変IRパルスレーザーを照射した際、試料の赤外吸収により瞬間熱膨張変化(フォト
サーマルレスポンス:温度変化,熱膨張)が生じます。この瞬間熱膨張変化をカンチレバーにより検知します。カンチレバーのリングダウン信号(あるいはそのフーリエ変換)の振幅が吸光度と比例するため、従来のFT-IRスペクトルと同等のスペクトルが得られます。
なお、IRパルスレーザーによる熱膨張変化を感知している原理上、深さ方向は極最表面ではなく、薄膜では試料厚み全体、バルク体ではミクロンオーダーの深さまでの領域を含む情報となります。
熱膨張の影響がXYZ方向のいずれの分解能にも影響するため、薄片の方がより適切に測定可能です。
また、熱膨張が小さい材料では測定が困難となることがあります。
データ例
PS/PCL コンポジット薄膜サンプル
PS(ポリスチレン)およびPCL(ポリカプロラクトン)の分布をAFM像および赤外吸収像にて可視化しています。赤外吸収像では各波数に応じた強度を示しており、組成分布はそれぞれの波数の強度を比によって表示しています。また画像内でラインプロファイルやスポットでのスペクトル解析も可能です。
データ形式
仕様
搬入可能試料サイズ |
水平方向: ~ 10 mm×10 mm
垂直方向: ~ 10 mm
※測定したい面が水平であること
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測定可能領域
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水平方向: ~ 30μm×30μm
垂直方向: ~ 3μm
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測定可能波数 |
910~1900 , 2700~3600 cm-1 |
最適試料条件 |
測定対象が300nm程度以下の薄膜である必要がある。
ミクロトームでの切削面等を推奨。
理想条件としては、測定対象を含む試料の表面凹凸は100nm以下であることが好ましい。
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必要情報
- 目的/測定内容
- 試料情報
(1)数量、予備試料の有無など
(2)構造、形状、評価箇所の大きさ(領域・厚さ)、層構造、材質、予想される物質など
(3)注意事項
- 納期
(1)速報納期
(2)注意事項
- その他の留意点
(1)異物の場合予想される物質もしくは使用されていた環境の情報をご提供ください。
注意点
- 本手法は、再委託によるサービスとなります。
- 黒色物など、赤外光の吸収が大きい試料は、良好なスペクトルの取得が困難になる場合があります。
- 液体、粉体は対応が困難な場合があります。
[AFM-IR]AFM赤外分光分析の分析事例はこちらからご覧ください。