AES:Auger Electron Spectroscopy
[AES]オージェ電子分光法の
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特徴
AESは、電子線照射により放出されるオージェ電子の運動エネルギー分布を測定し、試料表面(数nm程度の深さ)に存在する元素の種類・存在量に関する知見を得る手法です。
- 固体材料の表面(深さ数nm)の定性・定量が可能
- 微小領域(数十nm~サブミクロン程度)の定性・定量が可能
- 主成分元素の深さ方向分析・線分析・面分析の測定が可能
- SiやAl等、幾つかの元素については酸化物状態及び金属状態の評価が可能
- SEM像による着目箇所の特定が可能
適用例
- 金属多層膜の相互拡散評価
- 各種金属の酸化膜評価
- 特殊形状(球体、内壁等)の組成評価
- 電池材料の元素分布評価、劣化評価
- デバイス上の数十nm~サブミクロン程度の異物評価
- 断面加工併用による層間異常部の評価
- 割断面の層構造、元素分布評価
原理
AESは電子線照射により発生するオージェ電子をエネルギーで分光し、検出します。オージェ電子のエネルギーは元素固有なので、試料を構成する元素の同定が行えます。また、強度から組成に関する情報が得られます。
オージェ電子発生の過程
基底状態の原子に電子線を照射する(1)と、ある確率で、内殻電子を原子外に励起し、内殻に空孔が生じます(2)。内殻に空孔を持つ状態はエネルギー的に不安定なため、外殻電子が内殻に遷移します(3)。その際、遷移前の状態と遷移後の状態のエネルギー差に相当する分を同じ軌道の電子に渡します(4)。エネルギーを渡された電子は束縛を離れてオージェ電子として放出されます(5)。
3で生じた余剰エネルギーは特性X線として放出されるか、オージェ電子として放出されるかどちらかの過程を経ます。
データ例
定性分析(サンプル:Cu基板)
深さ方向分析(サンプル:Cu酸化膜/Cu基板)
面分析(オージェ像)(サンプル:Siウエハ上の異物)
データ形式
- PDFファイル:スペクトルデータ・プロファイルデータ・面分布データ・SEM像
- Excelファイル:数値データ(定量値、プロファイルデータ等)
仕様
検出可能元素 |
原子番号3(Li)以上の全元素 |
搬入可能試料サイズ |
数mm~10mm大、高さ5mm以下(最大 14×14mm、高さ12mm)
※但し、測定条件や材料によりサイズの上限が変わります。 |
測定可能領域 |
数十nm~200μm×200μm程度 |
面分析画素数 |
128点×128点若しくは256点×256点※条件により変動 |
検出深さ |
試料表面数nm(~7nm程度) |
検出下限 |
数atomic%(元素・測定条件により変動) |
エネルギー分解能 |
ΔE/E < 0.6% (電子線加速電圧1kV弾性散乱ピークの半値幅、SiO2上) |
空間分解能 |
8~200nm(オージェ電子)・数~数百nm(二次電子) ※加速電圧等に依存 |
SEM倍率 |
35~1,000,000倍程度 |
スパッタ面積 |
1mmφ~2mmφ |
必要情報
- 目的/測定内容
- 試料情報
(1)数量・予備試料の有無など
(2)形状・層構造・膜厚・パターンの有無・周囲の絶縁物の有無とその厚さ・異物の大きさや場所・測定箇所・着目元素(特に深さ方向・線・面分析時)・試料破壊(割断等)の可否など
(3)注意事項
- 納期
(1)ご希望の速報納期
(2)注意事項
- その他の留意点
注意点
以下の場合、評価に悪影響を及ぼす可能性があります。
- 絶縁物による帯電
- 試料表面の汚染が顕著
- 試料表面の粗れが顕著
- 脱ガスにより真空度を低下させる試料
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