概要
H,C,N,O等の軽元素で構成される高分子材料は、電子線の散乱能が低いため、そのままでは電子顕微鏡でコントラストがつきません。電子染色によって高分子鎖に重元素を結合させることで、高分子由来の構造や形態のコントラストを高め、電子顕微鏡でより明瞭に観察することができます。
染色剤は主に3種類あり、観察対象によって使い分けます。
・四酸化オスミウム(OsO4)
不飽和系高分子材料の–CH=CH-(二重結合)に選択的に反応します。
・四酸化ルテニウム(RuO4)
ポリオレフィン等の飽和系高分子材料の非晶質部に架橋反応します。
・リンタングステン酸(H3[P(W3O10)4]・xH2O 略称:PTA)
-CONHの官能基を含むポリアミドなどと反応します。
データ例
重元素の付加で電子線の散乱能が高まり、電子顕微鏡で高分子由来のコントラストを得ることができます。
適用例
- ブレンドポリマーやポリマーアロイの構造観察
- オレフィン系高分子ラメラ晶の構造観察