SSDP用加工:Substrate Side Depth Profile
[SSDP用加工]基板側からの測定用加工を適用した
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特徴
二次イオン質量分析法(SIMS)では、試料表面の凹凸、イオン照射により表面側に存在する原子が奥側に押し込まれるノックオン効果やクレーター底面粗れ等の現象により、急峻な元素分布を得られない場合があります。この問題を解決するために、薄片化加工を行った基板側(裏面側)からSIMS分析を行うのがSSDP法(Back-Side SIMS法)です。この手法により、試料形状や測定条件に起因する影響を受けることなく、より正確な元素分布評価が可能になります。
試料表面側にドーパントが高濃度に存在している試料について、試料の表面からと裏面から評価した場合を比較すると、表面からの分析では、高濃度層の影響を受け、深い方向へ広がった分布が得られます。このような場合、基板側から分析することで、より実際の分布に近いデータを得ることができます。
適用例
SSDP法はこんなときにお勧めです。
バリアメタルのバリア性、Low-k膜中への金属の入り込み、凹凸のあるシリサイド直下の評価等、高精度に評価する場面で活躍しています。
加工面評価
ベタ膜・パターン試料・チップ等の基板及び積層膜を分析深さに適した厚さに薄片化します。
薄片化試料について、SEM、AFM及びTEMを用いて評価しました。
- 写真1: 断面SEM
Siチップが1μm以下に薄片化され、視野内において残りSi膜厚が均一であることがわかります。
- 写真2: 加工面AFM
平坦な測定面が得られていることが確認できます。
- 写真3: 断面TEM
表面近傍では結晶欠陥など見られず、加工ダメージがないことがわかります。
写真1 加工試料断面のSEM像
写真2 試料加工面のAFM像
写真3 試料加工面近傍の断面TEM像
データ例
例1:メタル層/Si基板試料におけるメタル成分及びSi基板中Boronの分布評価
SSDP法により基板側から測定することで、Si基板中へのメタルBの拡散量をより厳密に評価することができます(図1、図2)。また、Si基板中のBoronの濃度分布も、より正確に得ることができます(図3)。
例2:Poly-Si中Boronのゲ-ト絶縁膜突き抜け評価
ゲ-ト電極のPoly-Si膜中にはBoronが高濃度で存在するため、表面側からの評価では基板との界面近傍の正確なBoronの分布を得ることができません。
この問題を回避するために、SSDP法にてSi基板側からの分析を行いました。Poly-SiからSi基板への微量なBoronの漏れをとらえることができています。
SSDP法のプロファイルはデータ処理により、膜中任意の位置を深さゼロ点とし反転しています。
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