SXES: Soft X-ray Emission Spectroscopy
[SXES]軟X線発光分光法の
分析事例はこちらからご覧ください。
特徴
SXESは、物質から発光される軟X線を用いて化学結合状態を評価する手法です。
発光を生じさせるための励起源としてエネルギー可変、高強度などの特長を持った放射光を用います。
- 試料中の特定元素(特にB,C,N,O等の軽元素)に着目した化学結合状態の評価が可能
- スペクトル形状は価電子帯における着目元素の部分状態密度を反映
- X線吸収スペクトル(XAS)との同時測定によってバンド構造の評価も可能
- バルクの情報が得られるため、表面近傍数nmの影響を受けにくい
- 絶縁物に対しても帯電の影響を受けずに評価が可能
- 検出下限が低く(<1atomic%)、微量成分であっても評価が可能
適用例
- 希薄磁性半導体Ga1-xCrxN中のギャップ内準位評価
- HOPG(高配向性熱分解グラファイト)中の微量ホウ素の局所構造解析
- 酸化物半導体中の微量軽元素の化学結合状態評価
- 各種薄膜試料のバンド構造評価(XASとの複合解析)
原理
SXESは、試料中の着目元素・軌道の束縛エネルギーよりも僅かに大きいエネルギーのX線を照射することで発生した特性X線を計測する手法です。
特性X線のエネルギーは元素固有であり、かつその分布は価電子帯における着目元素の部分状態密度を反映しているため、着目元素の化学結合状態に関する情報が得られます。
特性X線発生の過程
着目元素・軌道の束縛エネルギーよりも僅かに大きいエネルギーのX線を照射する(①)と、ある確率で、内殻電子を原子外に励起し、内殻に空孔が生じます(②)。内殻に空孔を持つ状態はエネルギー的に不安定なため、外殻電子が内殻に遷移します(③)。
その際、遷移前の状態と遷移後の状態のエネルギー差に相当する特性X線を放出します(④)。特性X線は元素によって固有のエネルギーを持ちます。
特性X線のエネルギー分布
上記の過程によって放出された特性X線を高いエネルギー分解能を持った分光器によってエネルギー分布を求めると、同じ元素の特性X線であっても材料によってそのエネルギー分布(=スペクトル形状)
が異なることが分かります。これはスペクトル形状が価電子帯の情報を反映しているためで、これを利用してSXESでは化学結合状態の評価を行います。
データ例
六方晶窒化ホウ素(h-BN)粉末のN Kα SXESスペクトル
GaN基板のN Kα XESスペクトル及びN K端XASスペクトル
データ形式
- PDFファイル:SXESスペクトル等
- Excelファイル:SXESスペクトルの数値データ等
仕様
測定可能元素 |
原子番号3(Li)以上の全元素、特にB,C,N,O等の軽元素 |
搬入可能試料サイズ |
要相談 |
必要情報
- 目的/測定内容
- 試料情報
(1)数量・予備試料の有無 等
(2)形状・層構造・膜厚・表裏の判断・破壊可否・加工の有無等
(3)試料に関する基本情報(予想される化学結合状態など)
- 納期
(1)ご希望の速報納期
(2)注意事項
- その他の留意点
注意点
- 本手法は日本国内の放射光施設を利用して測定します。
- 評価にあたっては別途標準試料の測定が必要となる場合があります。
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