TOF-SIMS:Time-of-Flight Secondary Ion Mass Spectrometry
[TOF-SIMS]飛行時間型二次イオン質量分析法の
分析事例はこちらからご覧ください。
特徴
試料表面の構造解析を行う手法です。他の分析装置に比べ表面に敏感であることから、最表面の有機汚染の同定などに適した手法です。
また、スパッタイオン源を用いて、深さ方向の分布分析も可能です。
- 最表面を高感度で分析可能
- HからUまでの全元素、C,H,N,O,P,Sなどからなる有機物の分子イオンが取得可能
- イメージ分析が可能
- 有機・無機化合物の構造解析・同定が可能
- 異物検査装置の座標データとリンケージが可能
- ミクロンオーダーの微小異物から数cmまでの定性が可能
- 深さ方向分析の定性分析が可能
MSTの特徴
- 雰囲気制御下で試料開封から測定まで行うことで、大気中の酸素や水分による劣化を最小限に抑えた状態評価が可能
- クリーンルーム内で試料開封から測定まで行うことで、大気中の二次汚染を最小限に抑えた定性評価が可能
適用例
- 変色部(曇り、シミなど)、剥離部の成分評価・原因調査
- 残渣、付着物、異物(数μm以上)の有機・無機定性分析
- 処理前後の最表面評価
- 高分子フィルムの添加剤の分布評価
- 有機EL・有機太陽電池の層構造に対応した成分情報の評価
- 金属薄膜の層構造評価・不純物の定性評価
- 二次電池のバインダーの定性・Liの状態・劣化評価
- 粉体表面からの不純物・コーティング剤の分布評価
- 薬剤の皮膚や毛髪への浸透評価
原理
一次イオン照射量を少なくすることで、表面の分子状態を保って二次イオンを発生させることが可能となります。得られた二次イオンを、飛行時間型(Time-of-Flight)質量計で分析します。
二次イオン発生原理
パルス状一次イオン(Bi)の照射量が1E12(ions/cm2)以下の場合、イオン化が非常にマイルドであるため、表面に存在する有機物が構造を保ったまま、二次イオンとして発生します。
飛行時間型(Time-of-Flight)質量分析器の原理
試料に一次イオンビームを照射し、スパッタされたイオン(二次イオン)が検出器に到達するまでの時間が質量によって異なることを利用して質量を分離します。軽い二次イオンほど早く検出器に到達します。
また、一度に正イオンと負イオンを検出することはできないので、片極ずつ検出しています。
装置構成
データ例
スペクトル(定性分析):Siウエハ上のウォーターマークの定性分析
得られた質量スペクトルは標準試料データとの比較により定性解析ができます。
標準試料がない場合、着目物質の親イオンの質量から、着目物質の存在の有無を推定します。
イオンイメージ(面分析):三次元培養ヒト皮膚中インドメタシンの経皮吸収評価
擬似カラーでイオン強度の強弱を表すことで物質の分布の可視化ができます。
デプスプロファイル(深さ方向分析):SiON膜の深さ方向分析
無機物、有機物について、深さ方向への分布評価ができます。
データ形式
仕様
検出可能元素・分子 |
H~Uの元素及びC,H,N,O,P,Sなどからなる有機物の分子 |
搬入可能試料サイズ |
最大300mm×300mm 高さ15mm (重量250gまで) |
測定可能領域 |
数μm~数cm角(通常は500μm角まで,128×128画素) |
検出深さ |
最表面の1原子層あるいは1分子層 |
検出下限 |
ppm レベル |
質量・面分解能 |
高質量分解能測定;質量分解能M/ΔM>7,000 (ビーム径約3~5μm)
高面分解能測定;質量分解能M/ΔM <400 (ビーム径約0.3μm) |
必要情報
- 目的/測定内容
- 試料情報
(1)数量、予備試料の有無など
(2)構造、形状、層構造、膜厚、パターンの有無、予想される物質など
(3)注意事項
- 納期
(1)ご希望の速報納期。試料数が多い場合、優先順位もお知らせください。
(2)注意事項
- その他の事柄
注意点
- 二次汚染回避のため、測定面同士を合わせてアルミホイルで包んだ状態でのご送付を推奨しております。
- 微小サンプルは予備サンプル、粉末サンプルはスパチュラ3杯以上をご用意ください。
- 絶縁性や脱ガスのあるサンプルの場合、約1.5cm角・厚み5mm程度でご用意ください。
- 冷蔵/冷凍または雰囲気制御などが必要な試料の場合、事前にその旨をご連絡ください。
生ものや薬品の場合は、取扱注意点とおおよその保管期限、返却方法も併せてお知らせください。
- 生体関係のご依頼では、サンプルによっては同意書が必要になる場合があります。
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