蛍光光度法

Fluorescence Spectrophotometer

装置外観

蛍光光度法の
分析事例はこちらからご覧ください。

特徴

物質に光を照射し、励起された電子が基底状態に戻る際に発生する光を観測する手法です。
•有機ELやタンパク質などの有機材料、発光材料の溶液や基板、薄膜、粉末の評価が可能です。
•蛍光スペクトルだけではなく、どの波長で最も発光するか(励起スペクトル)も評価が可能です。
•低温測定(77K)、及び、内蔵しているシャッターを併用することにより、蛍光とりん光を分けて取得することが可能です。

適用例

  • 有機EL材料、蛍光材料、タンパク質等発光材料のスペクトル(蛍光、りん光、励起)の取得
  • りん光寿命の評価
  • 量子収率測定

原理

物質に光(紫外・可視光)を照射すると、物質はそのエネルギーの一部を吸収します。光の吸収により、安定なエネルギー状態(基底状態)にあった分子内の電子は、一時的に高いエネルギー状態(励起状態)へと遷移します。電子が励起される際、電子のスピン方向は基底状態と同じ方向のまま励起されるため、電子のスピンが逆平行である一重項励起状態が生じます。一重項励起状態から電子が基底状態に戻る際に、差分のエネルギーを光で放出したものを蛍光と呼びます。また、一重項励起状態から電子のスピンが平行に反転する(項間交差)場合があり、平行に反転した状態を三重項励起状態と呼びます。三重項励起状態から電子が基底状態に戻る際に、差分のエネルギーを光で放出したものをりん光と呼びます。蛍光光度法はこれらの蛍光やりん光の評価を行う手法です。

原理

装置構成

装置構成

装置は励起光源、検出器から構成されます。励起光をサンプルに入射すると、サンプルで光が吸収され蛍光やりん光が生じます。この蛍光やりん光を検出器で捉えてスペクトルとして取得します。なお、励起光源側、検出器側いずれも分光することが可能であり、特定の波長を選択しての測定や、励起スペクトルの取得が可能です。

サンプル形状が基板や薄膜の場合はそのまま、溶液や粉体の場合はセルに入れて測定を行います。なお、試料を透過した光を検出することを避けるため、サンプルは励起光源に対して角度をもって設置します。また、積分球を用いた測定や、試料を低温にして測定する事も可能です。

■装置仕様
•励起光源:キセノンランプ波長範囲200~850nm
•蛍光スペクトル測定波長範囲:200~950nm
•検出器:光電子増倍管 測定温度:室温、77K

データ例

クマリンはマメ科等の植物に含まれる芳香族化合物であり、香水や軽油識別材として使用されます。クマリンの加水分解物は紫外線を当てると緑色発光が見られることが知られており、実際に蛍光スペクトルより、500nm付近にて強い発光が見られます。
また、どの波長で蛍光が最大となるのかを調べるものが励起スペクトルです。クマリンの加水分解物の場合、300nm付近までの光ではほとんど光りませんが、370nm付近(一般的なブラックライトで使用される領域)では非常に蛍光が強くなります。

原理
原理

データ形式

  • プロファイル:PDF (.pdf)
  • 数値データ:Excel (.xlsx)など

仕様

測定可能形態 液体、基板、薄膜、粉体
搬入可能サイズ 液体の場合:10mL以上推奨
基板、薄膜の場合:15mm角以上推奨
粉体の場合:30mg以上推奨

※量が少ない、微小チップ等の場合は別途ご相談下さい。

必要情報

  1. 分析目的/測定内容
  2. 試料に関する基本情報
    (1)試料数
    (2)試料種(溶液、基板、薄膜、粉体)
    (3)溶媒、基板、薄膜の種類など
    (4)ご希望の励起波長範囲、前処理方法(溶媒の種類等)
    (5)注意事項
  3. その他(安全性など)

注意点

  • 予備試料が必要な場合があります。
  • 粉体試料の場合は溶媒に溶かす場合があります。
  • 懸濁物質を含む溶液や多層構造の薄膜の場合、評価不可となる場合があります。

蛍光光度法の分析事例はこちらからご覧ください。

分析のご相談・お申し込み

知識豊富な営業担当が、最適な分析プランをご提案。
分析費用のお見積りもお気軽にお問い合わせください。
相談・お申し込みは、専用のフォームかお電話でどうぞ。

webからのお問い合わせはこちら

分析お問い合わせフォーム

お電話からのお問い合わせはこちら

ページトップへ