パワー半導体とは、モーターや照明等の制御や電力の変換を行う半導体で、取り扱う電圧や電流が大きい大きいことが特徴です。ダイオードやトランジスタなどの種類があり、最近ではSiからSiCやGaNなどの材料が
研究・開発されています。
評価対象は、基板や膜中に含まれる欠陥を始め、デバイス構造の確認や故障解析、パッケージングされた状態での非破壊検査等、多岐に渡ります。
PL・TEMによるSiCパワーデバイスの結晶欠陥評価
PL(フォトルミネッセンス)マッピングでは、発光箇所から結晶欠陥位置の特定が可能です。
更に同一箇所を高分解能STEM観察(HAADF-STEM像)を行うことで積層欠陥を捉えることができます。本事例では、市販のSiCパワーデバイスについてPLマッピングとSTEM観察を用いて調査を行いました。
PLマッピングにより積層欠陥位置を特定後、欠陥端部分についてFIB加工を行い、断面STEM観察を実施しました。
サンプル概要
分析結果
PLマッピングにより積層欠陥位置が確認できました。
特定した欠陥端部分について、FIB加工を行い、断面観察を実施しました。
Bright-field-STEM像において
デバイス表面から4.6μmの位置に欠陥を確認しました。
欠陥部分の高分解能HAADF-STEM像を取得し、原子配置の
ずれからSSF*1(3,1)であることが確認できました。
SiC MOSFETのトレンチ側壁の粗さ評価
近年、高耐圧デバイスの材料としてSiCが注目されています。Trench MOSFET構造は、素子の高集積化に必要であり、SiCデバイスへの応用展開が進められています。
Trench MOSFET構造のチャネル領域はトレンチ側壁であるためトレンチ側壁の平坦性がデバイスの信頼性に関わってきます。本資料ではSiC Trench MOSFETのトレンチ側壁の粗さについて、AFM(原子間力顕微鏡)を用いて定量的に評価した例を紹介します。
600V耐圧SiC Schottky Diodeのブレークダウン観察
高電圧電源(2000Vまで印加可能)を用いることで、耐圧の高いダイオードに対してもブレークダウンを発生させることができます。
本事例では600V耐圧のSiC Schottky Diodeを動作させ、逆方向に高電圧まで印加することで、ブレークダウンを発生させました。カソード電極を研磨で除去後、エミッション顕微鏡観察を行い、ブレークダウン電流発生箇所を特定した事例をご紹介します。測定には市販品を用いています。
SRAによる抵抗値の面内分布評価事例
SRAでは、キャリアの深さ方向濃度分布の他、試料表面や指定深さにおける抵抗値の面内分布評価も可能です。
一例として、市販品のSi-IGBTチップを解体し、ライフタイムキラーの深さ方向キャリア濃度分布評価と、ライフタイムキラー照射深さにおける抵抗値の面内分布評価をSRAで行った事例をご紹介します。
SiC Trench MOSFETディスクリートパッケージの非破壊3D構造観察
他社品調査や異常品検査では、まず内部構造の調査が必要です。X線CTでは、非破壊で試料内部の透過像を取得し、三次元構築することが可能です。本資料では、製品調査の一環としてSiCチップが搭載されたディスクリートパッケージをX線CTで観察した事例をご紹介します。
X線CTによる構造確認後、MSTで実施している物理分析(破壊分析)をご提案します。
パワーデバイスの分析事例はこちらからご覧ください。