半導体素子の微細化・高集積化に伴い、高い空間分解能・感度での評価が重要になってきております。
その中でも均一な形状のホール形成や膜の厚さ/被覆性の制御、汚染の低減に課題があります。このような課題に対して、単一手法の評価ではなく、様々な分析手法やシミュレーションを組み合わせた複合解析を行うことにより、より有効なデータを取得することができます。
メモリ材料の評価事例を以下に示します。
製品内のDRAMのリバースエンジニアリング
代表的なメモリであるDRAMについて製品レベルからTEM観察による微細構造の解析まで一貫して分析します。
外観観察からレイヤー解析、Slice&Viewを行うことで構造の全体像を把握し、メモリ部の微細構造をTEM像観察しました。
粘着シートによる電子部品の汚染評価
半導体デバイスの製造工程では、ダイシング用テープなど様々な粘着シートが使用されます。粘着シートは異物・汚染の原因となることがあります。そこで、本事例ではTOF-SIMS・SWA-GC/MSを用いて複合的に評価した結果をご紹介します。TOF-SIMSでは、粘着シート各材料の定性を行うことで、異物・汚染がどの粘着シートに起因するのか、また粘着シートのどの層に起因するのか同定が可能です。またSWA-GC/MSでは、どの粘着シートがもっとも汚染が少ないかを定量的に確認することができます。
角度分解XPS(ARXPS)による極薄膜の組成分布評価
角度分解XPS(ARXPS)はX線照射によって放出される光電子を取出角ごとに検出し、それぞれ検出深さの異なるスペクトルを用いてサンプル表面極近傍のデプスプロファイルを評価する手法です。従来のArイオンスパッタを用いた方法と比較すると、深さ方向分解能が向上し、かつ選択スパッタやミキシングによる組成変化が無いといったメリットがあり、基板上の極薄膜(数nm程度)のデプスプロファイル評価に有効です。
分子動力学計算を用いたアモルファスSiNx膜の構造解析
アモルファスSiNx(a-SiNx)膜は、N/Si比などの組成変化によって半導体から絶縁体まで物性が大きく変化することから、トランジスタ用ゲート絶縁膜など幅広い用途で用いられています。一方、結晶性のないアモルファス構造の材料に対し、原子レベルのミクロな構造解析を行える実験手法は限られているため、シミュレーションによってさまざまな組成、密度を有したアモルファス構造を作成し、解析を行うことは有効なツールとなります。
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