TG-DTA-MS イオン化法の選択 EI法・PI法(B0279)
樹脂の熱分解を例に、イオン化法の使い分けを解説
EI法(電子イオン化法)・PI法(光イオン化法)の特徴
TG-DTA-MSでは目的に応じて2種類のイオン化法を選択可能です。
項目 |
EI法(電子イオン化法) |
PI法(光イオン化法) |
イオン化の原理 |
熱電子を照射しイオン化
M + e- → M+ + 2e- |
真空紫外光を照射しイオン化
M + hν → M+ + e-
|
イオン化エネルギー |
約70eV |
約10eV |
検出感度 |
○ |
△ |
無機系ガスのイオン化 |
○ |
☓ |
有機系ガスのイオン化 |
○ |
○ |
分子構造を保った状態で
検出 |
☓
(フラグメント化しやすい) |
○
(分子イオンのみ検出) |
EI法: 無機系・有機系ともに検出可能であり、初回の定性分析に適しています。
PI法: ソフトイオン化により、分子構造を保った状態で検出可能です。
データ例:ポリスチレンの熱分解TG-DTA-MS 結果
PI法により、ポリスチレンの熱分解ではスチレンが生成し、ベンゼンはほぼ生成しないことが分かりました。