水素注入サンプルのSRA/SIMS評価事例(C0322)
ライフタイム制御サンプルのキャリア濃度分析事例紹介
概要
パワー半導体デバイスでは、ライフタイム制御のために、Si基板内に結晶欠陥を形成することがあります。ライフタイム制御領域の作成に用いられる元素の一つである水素イオンの熱処理条件の違いによるキャリア濃度分布を評価した事例を示します。
データ
熱処理前
n-Si基板にHをイオン注入したサンプル(図1)について、SIMSでH濃度を、SRAでキャリア濃度を測定した結果を図2に示します。
Hの注入ピークのある表面から約30μmまでの領域は高抵抗を示しました。
これはイオン注入時のダメージが影響しているものと考えられます。
熱処理後
熱処理を行ったサンプルについてSIMSでH濃度を、SRAでキャリア濃度を結果を図3に示します。
熱処理後のサンプルでは、注入ピーク付近でのキャリア濃度が高くなっている一方で、深さ20μm付近ではキャリア濃度の低下が見られました。また、表面から約20μmまでの領域はp型を示しました。
このことから熱処理によって
- Hの活性化が進み、抵抗値が変化したこと
- 再結晶化が進み、結晶欠陥の分布が変化したこと
が考えられます。
このようにSRAではHイオン注入や熱処理に伴うキャリアの挙動を高感度で評価することが可能です。