SIMSによるGaN系LED構造中不純物の深さ方向濃度分析(C0251)
目的に応じた分析条件で測定します
概要
GaN系LED構造のドーパント元素であるMgやSiの深さ方向濃度分布を複数の分析モードで評価した事例をご紹介します。
SIMS分析では目的に合わせて最適な分析モードを選択することで、より厳密な評価が可能になりますのでお気軽にご相談ください。
データ
図1の構造を持つ市販のGaN系LED構造について、図2にMgとSiを同時に取得した条件(a)と表面から活性層までの領域に着目した条件(b)、SiとH,C,Oなどの複数元素を同時に取得した条件(c)、Siの感度を重視した条件(d)にてSIMS測定を行った結果を示します。
図2(a)ではMgとSiの分布を同時に評価し、素子全体のドーパントの分布を把握できます。Mgを感度良く検出できる条件のため、ppbオーダーで活性層までMgが拡散していることが評価できます。Siに着目した分析条件(d)と比べるとSiの検出感度は劣りますが、高質量分解能モードによりプロファイルを取得するため、妨害イオンによる質量干渉はありません。
図2(b)ではGaN/AlGaNなどの異種材料によるマトリックス効果の影響を低減することで各界面近傍においてより確からしい連続的なMgの分布を取得することが可能です。こちらの分析条件ではMgドープ層から活性層近傍の領域における分布を(a)よりも厳密に評価することが可能で、Hの分布を同時に取得することができます。
図2(c)ではH,C,O,Si などの複数の元素を同時に測定することが可能ですが、Siについてはn-GaN層以外の領域におけるSiの分布を厳密に議論することができません。
これは、最も存在比の高い28Siが14N2、12C+16O、1H+27Alなどの妨害イオンによる質量干渉を受けるためです。
図2(d)では高質量分解能測定によりSiを高感度に検出することができるため、(c)よりも低濃度のレベルまで評価することが可能です。
本資料の分析モード以外にも、深さ方向分解能を高めた条件や、主成分元素の組成定量など、分析目的に合わせて最適な分析モードをご提案致しますのでまずはお気軽にご相談ください。
MST技術資料No. | C0251 |
掲載日 | 2012/12/06 |
測定法・加工法 | [SIMS]二次イオン質量分析法 その他
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製品分野 | パワーデバイス 光デバイス 照明
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分析目的 | 微量濃度評価 製品調査
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