リートベルト解析(Rietveld analysis)とは(B0277)
XRD等の測定データの解析から結晶内原子配置等の詳細な情報が得られます
リートベルト解析の概要
リートベルト解析とはXRD(X線回折法)や中性子線回折法の測定データを解析する手法の一種です。
既存手法による格子定数・空間群などの同定に加え、試料の結晶構造モデル(候補)がある場合は
単位格子内部の原子配置など、より詳細な結晶構造情報を得ることが可能です。
リートベルト解析の特徴
どの様な試料が解析可能か?
- 結晶試料(非晶質は不可)
- 粒径1~5μm以下の粉末試料
- 試料の結晶構造モデル(候補を含む)がある
どの様な物性情報が得られるか?
- 物理反応・化学反応の前後における結晶構造の変化
- 構造欠陥(置換・欠損)による結晶構造の変化
- 既存手法では困難な、分子/結晶構造が互いに類似する多相試料の同定
- 結晶相の数が多く、解析が困難な多相試料の同定
リートベルト解析実行例
①結晶の構造モデルを作成
Al2O3
+
ZnO
=
混合粉末試料(質量比は不明)
②結晶構造モデルから
回折パターンを計算
③計算値と測定値の差分の総和が
最小となる様にパラメータを精密化
2θ(°)
赤色点:XRDによる測定値/青色線:リートベルト解析による計算値/緑色線:測定値と計算値の差分
構造モデルのパラメータ
試料/単位格子の辺 |
辺長[Å] |
質量比[%] |
Al2O3 |
a,b |
4.759 |
50.56 |
c |
12.99 |
ZnO |
a,b |
3.250 |
49.44 |
c |
5.206 |
※結晶構造図はVESTAを利用(https://jp-minerals.org/vesta/jp/)