LDI-MS(レーザー脱離イオン化質量分析法)の 概要と特徴(B0294)
LDI-MSとMALDI-MSの違いについて
概要
LDI(レーザー脱離イオン化法)とは、紫外レーザーのエネルギーのみを利用して分子を昇華・イオン化させる方法です。一方のMALDI(マトリックス支援レーザー脱離イオン化法)はマトリックスと混合した試料に紫外レーザーを当てることで分子を昇華・イオン化させる方法です。

特徴
LDI-MSは、MALDI-MSと異なり、マトリックスを使用しないことから、下記のメリットが挙げられます。
①マトリックスの検討が不要
②マトリックスによる低質量側の妨害をうけない
これらのメリットからLDI-MSは低分子化合物を評価しやすいため、有機EL材料などの多環芳香族系や、フッ素系オイルなどの材料分野の評価に利用されています。
表LDI-MSとMALDI-MSの違い
|
LDI-MS |
MALDI-MS |
イオン化の分類 |
ハードイオン化法
(フラグメンテーションしやすい) |
ソフトイオン化法
(分子イオンのまま評価) |
主な測定対象 |
低分子有機化合物 |
低分子~高分子有機化合物
(マトリックスの妨害あり) |
生体試料イメージング |
△
(イオン化する成分に制限あり) |
○
(タンパク質や脂質の評価が可能) |
材料イメージング |
○
(マトリックス検討が不要) |
△
(マトリックス検討が必要) |
検出深さ
(イメージング測定時) |
100nm~1μm程度
(レーザー強度や照射回数に依存) |
数μm程度
(溶媒が浸透する試料深さに依存) |
適用例 |
フッ素系オイル
多環芳香族系(有機EL等)
シランカップリング剤 |
タンパク質
脂質
成高分子(ポリマー) |