雰囲気制御下での有機金属錯体の定性分析(C0457)
酸化の影響を受けない条件でTOF-SIMSによる質量分析が可能です
概要
チタンテトラアルコキシドは、香月・シャープレス不斉エポキシ化に欠かせない試薬であり、大気下では酸化の影響を受けます。
今回、チタンテトラアルコキシド(チタンテトライソプロポキシド)について、雰囲気制御下と大気暴露後において、どのように変化するかTOF-SIMSを用いて調べた事例を示します。
MSTでは雰囲気制御により、大気酸化の影響を受けずに錯体の評価が可能です。
データ
雰囲気制御下では、Ti(OC3H7)4由来のピークが検出されております。一方、大気暴露後のデータではチタンの酸化物が形成しております。
雰囲気制御により大気酸化の影響を受けずに錯体の評価が可能です。
参考:香月・シャープレス不斉エポキシ化とは
1980年に香月勗氏とバリー・シャープレス氏によって報告されたアリルアルコールの不斉エポキシ化を行う手法。
2001年にシャープレス氏はこの反応とシャープレス不斉ジヒドロキシ化の開発によってノーベル化学賞を受賞しています。