スズ(錫, Sn)表面の深さ方向状態評価(C0735)
表面処理による改質層や変質層の評価が可能
概要
TOF-SIMSは深さ方向分解能が良く、また結合状態に対応したフラグメントイオンが得られるため、表面数nm付近の層構造の評価が可能です。
本資料では、スズ酸化物、酸化スズ水和物の各標準試料の測定から得られたフラグメントイオンの情報をもとに、スズ板表面の層構造を分析した事例を紹介します。
この技術を応用することで、表面処理による改質層や変質層の評価が可能です。
データ
標準試料の定性結果
標準試料(SnO2粉体とSnO2・nH2O粉体)の分析を行い、マススペクトルを得ました。m/z 148はSnO2、m/z169はSnO2・nH2Oに特徴的なイオンと判断しました(図1)。
図1 標準試料のマススペクトル
スズ板の深さ方向分析結果
標準試料の結果をもとに、スズ板の各イオンの深さ方向分布を示します(図2) 。
スズ板は表面より以下の層構造と推定されます。
『酸化スズ水和物、スズ水酸化物/スズ酸化物/金属スズ』
図2 スズ板のデプスプロファイル
分子情報の深さ方向分析の参考出典;Harumi Masudome et.al.,Surf.InterfaceAnal.2011,43,664–668