剥離原因となる金属界面の有機物評価(B0285)
TOF-SIMSで金属界面の有機物を深さ方向に評価できます
概要
金属界面の有機物は密着不良や剥がれの原因となります。その密着不良の分析には、物理的に剥離加工を行い、剥離した面について定性分析を行うことが有効です。(参照:分析事例C0198)。一方、剥離加工ができない場合も多く、その場合にはスパッタイオン源を用いて深さ方向に分析をすることが有効です。
本資料では、金属界面における薄膜もしくは二次汚染程度の有機物を深さ方向に定性分析した事例を紹介します。結論としてC系のイオンを確認することで有機物の存在を確認することができました。
また、成分がわかっている標準品と比較することで有機物を同定できる場合もあります。
サンプルメイクと測定
データ
粘着シート表面のマススペクトルを図1に示します。C3H3O2イオンなどが特徴的に検出されました。
図1. 粘着シート表面のマススペクトル
金(Au)表面からSi金属が露出するまで深さ方向測定を行いました(図2)。図3にデプスプロファイルを示します。界面からC2イオンが高感度で検出されました。また、粘着シート起因のC3H3O2イオンも検出されました。剥離困難な金属界面の有機物評価はTOF-SIMSによる深さ方向分析で評価できる場合があります。
図3. TOF-SIMSによるデプスプロファイル
※有機物だけではなく、グラフェン、グラファイト、アモルファスカーボンでもC系のイオンは検出されます。
MST技術資料No. | B0285 |
掲載日 | 2022/11/10 |
測定法・加工法 | [TOF-SIMS]飛行時間型二次イオン質量分析法
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製品分野 | LSI・メモリ パワーデバイス 光デバイス 電子部品 製造装置・部品 酸化物半導体
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分析目的 | 故障解析・不良解析 不純物評価・分布評価
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