涙液・唾液中の成分分析(C0487)
血液・尿以外の体液でも定量分析が可能
概要
薬物の体内動態を把握するために、体液に含まれる薬物の濃度を知ることは重要です。体内に吸収された薬物の定量分析には一般的に血液を用いますが、近年、血液よりも採取に負担が少ない涙液や唾液などの体液を用いた分析が注目を集めています。MSTでは血液や尿だけでなく、涙液や唾液に含まれる成分をLC/MS/MSを用いて高感度に定量することが可能です。
以下に、涙液のグルコース分析と、唾液の5-フルオロウラシル分析例を示します。
データ
涙液のグルコース分析
図1 涙液の流れ
涙液は主涙腺から常に分泌され、鼻腔に向かって1分間に2 μL流れています。
そのため、採取の負担が少なく、濃度の時間変化を見ることができる体液として注目されています。
図2 涙液中グルコース量の経時変化
1時間ごとに涙液(1μL)を採取し、そのグルコース量を測定
唾液の5-フルオロウラシル分析
図3 5-フルオロウラシルの構造
抗がん剤の一種である5-フルオロウラシル(5-FU)は副作用として口内炎を発症することが知られています。このため、唾液中での5-FUの動態が注目されています。
図4 試料採取方法
図5 5-フルオロウラシルの唾液検量線(0.01~0.1μg/mL)
- 定量下限 : 0.01μg/mL
- 試料使用量 : 50μL