毛髪断面の微細構造(S)TEM分析(C0643)
毛髪細胞膜複合体(CMC)の観察事例
概要
毛髪細胞膜複合体(CMC)は、毛髪のブリーチや毛染めなどの際に薬剤の通り道として利用されます。特にキューティクル/キューティクル間のCMCは3層構造を有しており、この可視化を行いました。
四酸化オスミウム(OsO4)で、脂質中の不飽和脂肪酸を狙って電子染色を行いTEM観察及びSTEM-EDX分析をした事例を紹介します。
データ
1)キューティクル/キューティクル間のCMCの構造について
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アッパーβ層とローワーβ層はそれぞれ約5nm
の厚みの膜で、タンパク質と脂質(18-MEA)の単
分子膜からなっています。構成しているタンパク
質において窒素(N)が少ないのが特徴です。
δ層は約14~17nmの厚みがあり、その表面に
は非ケラチンタンパクが存在しています。内側に
は親水性のケラチンタンパクがあり、ジスルフィド
結合を持っています。
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2)キューティクル/キューティクル間のCMCのTEM像