電子回折の種類と特徴(B0214)
TEM:透過電子顕微鏡法
電子回折法の種類と特徴
透過電子顕微鏡での電子回折法は、試料への電子線の入射の仕方によって3つに分類されます。それぞれの特徴とデータ例を示します。評価対象物のサイズや分析目的に応じて、適切な手法を選択する必要があります。
電子回折のビーム径と回折スポットの大きさ
測定対象の結晶サイズよりも電子線のビーム径が大きくなると、回折スポットが小さくなるという特徴があります。よって、ビーム径は対象の結晶サイズに合わせて適宜設定する必要があります。
様々なビーム径で取得した単一のAuナノ結晶からの電子回折
ナノ結晶集合体からの電子回折
ナノ結晶に対してビーム径が同等もしくは小さい場合と、ビーム径が十分大きい場合の電子回折による評価例を示します。ランダム配向した無数のナノ結晶集合体に対し大きなビーム径を適用すると、電子回折パターンは非晶質からのハローパターンと類似のパターンを示すため、注意が必要です。
参考文献)平田, 弘津 日本結晶学会誌 49, 122(2007)
電子回折法の長所・短所
長所
- 電子線の入射の仕方により、SAED, NBD, CBEDの3種に分類され、NBDとCBEDでは1nmΦ~、SAEDでは100nm~数μmφまでの測定領域が選択できます。
短所
- 破壊分析(粉体除く)
- 電子線が透過する厚みへの加工が必要。
- 結晶構造の同定は、晶帯軸入射からのずれが大きい場合や、類似の構造が複数存在する場合、構成元素の情報の有無によって難しいこともあるため、参考データとさせていただいております。