全光線透過率測定、全光線反射率測定(B0291)

積分球を用いることで表面凹凸や厚みがあるサンプルも測定可能です

透過率測定について

UV-Vis測定では一般的にサンプルの直進透過率を測定します。しかし、サンプルが懸濁している場合や、表面に凹凸や厚みがある場合には、透過光が拡散する(拡散透過光)ため、直進透過率が過小評価されることがあります(図1)。
このようなサンプルの透過率を測定する場合には、積分球を用いて拡散透過光を含む透過率(全光線透過率)を測定することが有効です(図2)。

測定事例(直進透過率、全光線透過率)

表面粗さの異なる2種のすりガラスをサンプルとして用いた測定事例です。すりガラスはガラス表面の凹凸により透過光を拡散させる特性があるため、積分球を用いることで全光線透過率を求めることができます。

サンプルA、サンプルBともに直進透過率より全光線透過率の方が高く、表面凹凸により透過光が拡散していることが分かります。
サンプルA、サンプルB間の比較では、直進透過率、全光線透過率ともに表面粗さが大きいサンプルBの方が透過率が小さく、表面粗さが大きいほど光を拡散しやすいことが示されました。

反射率測定について

反射率測定は、サンプルに光を入射したときの反射した光を測定する方法です。*1)
反射光には入射角と同じ角度で反射する正反射光と、入射角とは異なる角度に拡散する拡散反射光があります(図5)。反射光が拡散しやすい表面凹凸や厚みのあるサンプルは、積分球を使用して拡散反射光を含む全光線反射率を測定します(図6)。また、全光線反射率と拡散反射率、正反射率をそれぞれ求めることも可能です。
*1:反射率測定には、相対反射率測定(標準基板:100%とした場合の反射率)と絶対反射率測定(光量を直接測定)があります。

まとめ

表面に凹凸や厚みのあるサンプルの透過率、反射率を評価する場合、入射光が拡散しやすいため、直進透過率や正反射率を求めるよりも、積分球を用いた測定で全光線透過率や全光線反射率を求めることが有効です(表1参照)

仕様等(全光線透過率、全光線反射率)

  • 測定波長範囲:200~2500nm
  • サンプルサイズ:固体15~25mm角、粉体等(1g以上)
  • 反射率測定時の入射角:5°

MST技術資料No.B0291
掲載日2023/06/08
測定法・加工法[UV-Vis]紫外可視分光法
製品分野電子部品
高分子材料
食品
分析目的その他

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