リチウムイオン二次電池 電極材料の評価(C0272)
雰囲気制御イオン研磨(IP)加工を用いた断面観察が可能
概要
リチウムイオン二次電池の電極は、容量等電池の性能や信頼性を大きく左右する非常に大きな構成材料です。充放電サイクル試験後の電極材料を雰囲気制御下でイオン研磨(IP)加工を行うことで、大気暴露による劣化を抑えて正確に観察することができます。
今回、充放電後のリチウムイオン二次電池の正極材料に関して、雰囲気制御効果をIP加工後のSEM観察結果を比較することで検証した事例をご紹介します。
データ
IP加工後の断面SEM観察結果から、広域の加工・観察が可能であり、活物質やバインダーの分散、形状や空隙等の観察ができることが分かりました。IP加工後に大気暴露されたサンプル(図2)は活物質に染み状の物質や付着物が多数観察されました。これは電池解体後の洗浄によって除去できなかった活物質内部に残留、捕捉された電解液が大気によって劣化、変質したものと考えられます。
雰囲気制御を行なってIP加工・SEM観察を行なったサンプル(図1)では変質が見られておりません。
このように雰囲気制御を行うことで材料を劣化させることなく評価することができます。