燃料電池等の窒素ドープカーボン材料における窒素の置換位置評価(C0484)
ケミカルシフトを利用して窒素の置換位置の同定や定量的な分離が可能です
概要
燃料電池の電極触媒であるPtに替わる材料として、窒素(N)原子を導入したカーボン材料が注目を集めており、その触媒活性にはカーボン材料中に存在するNの置換位置が大きく関わっています。XPS分析では、Nの結合状態や置換位置の違いによりケミカルシフトが生じるN1sスペクトルの評価を行うことで、Nがどの位置のCと置換されたのかの同定や定量的な分離が可能です。
以下に、評価例を示します。
データ
Nのケミカルシフト
N1sでは、カーボン材料においては直接の結合元素がOだけでなく、C,Hのみでも、Nの置換位置によって下記のようなケミカルシフトを示すことが知られています。
窒素ドープカーボン材料のNの置換位置評価
N1sのケミカルシフトを利用することで、注入したNがどの位置のCと置換されたのかの同定や定量的
な分離が可能です。
図1 N1sスペクトルの波形解析例
表1 各置換位置の存在割合(%)
ポイント
カーボン材料中のNの置換位置の同定や定量的な分離が可能です
参考文献:Binghu Wang,et al., Electrochimica Acta 241 (2017) 1.
MST技術資料No. | C0484 |
掲載日 | 2017/09/07 |
測定法・加工法 | [XPS]X線光電子分光法
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製品分野 | 燃料電池
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分析目的 | 化学結合状態評価 構造評価
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