SiCパワーMOSFETのコンタクト電極評価(C0292)
コンタクト電極/SiC層の界面の相同定・元素分布評価
概要
市販のSiCパワーMOS FET素子の解析事例をご紹介します。
SiC材料では、SiだけでなくCを含めた系での材料制御が必須となり、従来のSi半導体の製造方法と違いがあります。コンタクト電極とSiC層のオーミック接合形成プロセスにおいて、TEMを用いたEDX/EELS分析および電子回折から、Cを含めた元素分布や結晶相を評価しました。
データ
サンプル概要
市販品を解体し、SiC パワーMOSFET 素子のコンタクト電極/SiC界面を調査しました。
(1)断面観察から、コンタクト電極/SiC界面には粒子状の合金層が確認されました。
(2)EDX面分析から、合金層の構成元素は主にNiとSiでした。
(3)電子回折から、粒子はNiSiと同定できました。
(2)(4)C(炭素)のEDX/EELS面分析から、合金層内にもCが確認されましたが、著しい析出はなく、電子回折ではCの分布に対応してSiCの回折スポットも確認できました。
今回の調査では、NiとSiC基板が反応して、低抵抗のNiSiが形成されているものの、凝集性からシート抵抗の増加が懸念される結果となりました。
TEMを用いたEELS,EDX,電子回折等を組み合わせることによって特定素子の構造および元素分布・結晶性を評価可能です。