テクスチャ付きGaN系LEDの元素分布評価(C0248)
凹凸のある構造でも平坦化加工により深さ方向分布評価が可能
概要
GaN系LEDは照明用途としても広く用いられるようになりました。光の取り出し効率を高めるため、取り出し面に凹凸を設けることがありますが、この凹凸が深さ方向分析における深さ分解能の劣化を招きます。
テクスチャ凹凸面に平坦化加工を施すことにより深さ分解能の劣化を抑えて深さ方向濃度分布を評価した事例と、バックサイド(基板側)から分析を行った事例をご紹介します。
データ
【ケース1】表面がn-GaN層の場合
パッケージ開封前後のチップ概観写真を図1に示します。
チップは図2で示したような断面構造を持ち、このままでは凹凸の影響により元素分布の評価が困難であるため、加工によりn-GaNを平坦化いたしました。
平坦化加工により、表面に凹凸があるチップにおいてもMQWが判断できるほど深さ方向分解能を保った分析結果を得ることが出来ました(図3)。
【ケース2】表面がp-GaN層の場合
本項では平坦化加工の有無により取得できるプロファイルを比較致します。
パッケージ開封前後のチップ概観写真を図4に示します。
図5で示したような断面構造のチップについて、凹凸がある表面からそのまま測定を行った結果を図6(a),(b)に示します。
図6(a)ではp-GaN層からMQWまでの浅い領域に着目しておりますが、凹凸の影響により深さ方向分解能が劣化しているため精度良く評価することが不可能です。一方、図6(b)のような深い領域に着目した分析では、深さ方向分解能の劣化はプロファイルに大きく影響しておりません。
次に凹凸面に平坦化加工を施してから測定を行った結果を図7に、バックサイド(サファイア基板側)から測定を行ったSSDP-SIMSの結果を図8に示します。
図7では凹凸面を平坦化して測定を行っているため、図6(a)と比べて急峻な分布を取得することが可能であり、p-GaN層中のMg濃度を精度良く評価することが可能です。
しかしながら、MQW層中へのMgの拡散評価を厳密に行うことは困難であるため、MQW層中に着目する場合は図8のようにバックサイドからの測定(SSDP-SIMS)が有効です。 試料構造、分析目的により最適な方法をご提案いたしますのでお気軽にご相談ください。