NMR(核磁気共鳴分析)の紹介ー31P核を用いた定量分析ー(B0278)
NMR(核磁気共鳴分析)
NMRの定量分析とは
NMRは核スピンを直接観測していることから、測定で得られる測定核種のピークの面積(:積分値)は、測定対象の溶液あるいは固体に含まれる核種の数および濃度に比例します。この原理からNMRでは検量線を必要としない定量分析が可能です。例えば、31P核のピークの積分値を用いて次の関係式に従い、二種類の混合試料の一方の既知の濃度から他方の濃度を求めることが可能です。
Ia:試料aのピークの積分値 Pa:試料aのピークが示す構造式におけるリンの数 Ca:試料aのモル濃度
Ib:試料bのピークの積分値 Pb:試料bのピークが示す構造式におけるリンの数 Cb:試料bのモル濃度
31P核を用いた定量分析のデータ例
本件では、31P核を用いてリンを含む有機化合物の濃度を算出したデータを紹介します。濃度既知の試料a(濃度:2.7mmol/L)と濃度未知の試料bの混合試料について、31P-NMRスペクトルを測定し図中朱色で示すピークの積分値を用いてbの濃度を求めました。
本結果より、ピークの積分値は試料a=1.0に対して、試料b=0.82となりました。この結果を上記の計算式に代入しますと、
となり、試料bの濃度は2.2mmol/Lとなります。
MST技術資料No. | B0278 |
掲載日 | 2022/01/27 |
測定法・加工法 | [NMR]核磁気共鳴分析
|
製品分野 | 高分子材料 医薬品 化粧品 環境
|
分析目的 | 組成評価・同定 構造評価 劣化調査・信頼性評価
|