FT-IRによる樹脂の硬化反応評価(3)(C0571)
官能基の変化を捉えることで樹脂の硬化度を評価することが可能です
MST技術資料No. | C0571 |
掲載日 | 2019/07/25 |
測定法・加工法 | [FT-IR]フーリエ変換赤外分光法
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製品分野 | 電子部品 日用品
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分析目的 | 化学結合状態評価 劣化調査・信頼性評価
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概要
耐薬品性や電気絶縁性などに優れている樹脂は、様々な電子部品の絶縁体、コーティング剤、接着剤として利用されています。FT-IR分析は、樹脂の硬化度等の不良原因を調査することが可能で、製品開発に有効です。
一例として、UV硬化樹脂(紫外線硬化樹脂)の硬化度を評価した事例をご紹介します。
接着剤における紫外線照射時間の検討や、製品に剥離が発生した際の硬化状態の評価に有効です。
データ
硬化反応はC=C結合が開裂することにより進みますが、芳香環は硬化反応に寄与せず変化しません。
つまり、C=C結合由来のピーク(1637cm-1)の強度は硬化と共に小さくなりますが、芳香環由来のピーク(1597cm-1)の強度は変化しないため、2本のピークの強度比からUV硬化樹脂の硬化度を評価することが可能です。
図3 反応時間に対するピーク強度比
I(1637cm-1)/I(1597cm-1)